糸遊

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成長するとは・・・

 糸遊を開所して4か月、色々な方々がお祝いや遊びに来てくれます。再会の喜びの中でも、高校教員をしていた頃の生徒さんたちの大人になった姿を見るのは、ひとしお。高校生の頃の不安定さ、あやうさを抜けて『大人』になった姿で語ってくれる近況は、嬉しい喜ばしい話でも、苦しいつらい話でも、「ああ、成長したんだなあ・・・」と、さなぎが蝶に羽化したような、まさに一皮むけた印象を受けます。

 糸遊に来ている子どもたちが、たったひと夏でさえグングン成長していた、この「成長」と何が違うんだろう?ずっと頭の片隅にあった問いが、一人の生徒さんの夏の課題のおかげで腑に落ちました。

それは、理科の自由研究「カマキリの羽化」。

カマキリが大好きな生徒さんのお陰で、私は初めてカマキリが約6~7回の脱皮を経て成虫となることを知りました。2,3回かなと勝手に想像していた私。7回・・・そんなに・・?多すぎない・・?脱皮は危険がいっぱいです。絶食、脱皮の失敗、死・・・。

 確かにカマキリたちは、身体の物理的な危険に何度も直面するのですが、人間も同じかもしれない、とハタと気づきました。やわらかい傷つきやすい心は、何度も危機に出会っているのでは・・・その度に、傷を受け変化していく。けれど、どこかで必ず成虫になる最後の変化を迎えるのです。

でも人間の場合、その最後の変化は必ずしも年齢ではないのかもしれません。特に今の時代、社会との関わり方、参加の仕方は千差万別。だからこそ『大人』となった自分のこころと身体が活躍できる居場所を見つけるのは至難の業なのかもしれません。

そんな最後の「羽化」を迎えようとしている方々が、この広い世界で自分らしく生き抜く力を身に付ける応援をしたい。

糸遊「うか羽化プログラム」始動です。

2023年10月21日

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